キオクノカケラ
第6章
夢を見た………。
辺りは真っ暗。
ただ自分だけが光って見えるだけ。
前も後ろも、右も左も分からない。
けど、1つだけ分かることがあった。
背後から聞こえる、コツコツと地面を叩く足音。
だんだん大きくなるってことは、近づいてきているのだろう。
普段なら特に気にしないのに、今はすごく怖い。
そっと後ろを振り返ると、足の爪先が見えた。
逃げなきゃ…!
なぜかそう思って、
気付いた時にはもう、足が勝手に動いていた。
走っても、走ってもゴールは見えない。
相変わらず足音は、速度を変えずに近づいてくる。
「やだ…誰か!!」
「誰か助けて…っ!」
闇雲に走りながら叫んだその声は、
虚しく空気に溶けた。
“お前が悪いんだ”
どこからか声が聞こえる。
“お前の居場所はない”
“全ての原因は、お前”
同じ声で、何度も何度も言ってくる。
“お前が悪いんだ”
“あの時、行かなければよかったのに”
“全ての原因はお前だ”
「やめてよ……知らない。私そんなの知らない!!」
頭の中で木霊(こだま)する声。
首を勢いよく振って耳を塞いでも、頭に直接響く。
「っ…ひっく……何、なのよ…」
そのままぺたん、と力なく座りこんで、涙を流した。
冷たくて暗い世界。
苦しくて、悲しくて。
次々と涙が溢れた。
「…誰か…返事してよ……」
ひとりは嫌。
「結城くん……っ」
ふと、誰かが頭を優しく撫でてくれた。
“大丈夫……”
“……もう、ひとりにしないから…”
優しく響くその人の声は、とても心地よくて。
声のするほうを見上げたけど、ただ暗い空間しか見えなかった。
けど、涙はいつの間にか止まっていた。
私は目尻に残っていた涙を拭うと、微笑んで。
「ありがとう」
そう呟いた。
辺りは真っ暗。
ただ自分だけが光って見えるだけ。
前も後ろも、右も左も分からない。
けど、1つだけ分かることがあった。
背後から聞こえる、コツコツと地面を叩く足音。
だんだん大きくなるってことは、近づいてきているのだろう。
普段なら特に気にしないのに、今はすごく怖い。
そっと後ろを振り返ると、足の爪先が見えた。
逃げなきゃ…!
なぜかそう思って、
気付いた時にはもう、足が勝手に動いていた。
走っても、走ってもゴールは見えない。
相変わらず足音は、速度を変えずに近づいてくる。
「やだ…誰か!!」
「誰か助けて…っ!」
闇雲に走りながら叫んだその声は、
虚しく空気に溶けた。
“お前が悪いんだ”
どこからか声が聞こえる。
“お前の居場所はない”
“全ての原因は、お前”
同じ声で、何度も何度も言ってくる。
“お前が悪いんだ”
“あの時、行かなければよかったのに”
“全ての原因はお前だ”
「やめてよ……知らない。私そんなの知らない!!」
頭の中で木霊(こだま)する声。
首を勢いよく振って耳を塞いでも、頭に直接響く。
「っ…ひっく……何、なのよ…」
そのままぺたん、と力なく座りこんで、涙を流した。
冷たくて暗い世界。
苦しくて、悲しくて。
次々と涙が溢れた。
「…誰か…返事してよ……」
ひとりは嫌。
「結城くん……っ」
ふと、誰かが頭を優しく撫でてくれた。
“大丈夫……”
“……もう、ひとりにしないから…”
優しく響くその人の声は、とても心地よくて。
声のするほうを見上げたけど、ただ暗い空間しか見えなかった。
けど、涙はいつの間にか止まっていた。
私は目尻に残っていた涙を拭うと、微笑んで。
「ありがとう」
そう呟いた。