リナリア
くーちゃんは、めげずに一也くんに話し掛ける私に呆れながら「あんたって奴は...」と学校の帰り道に言われた。
「ねっ!私ってマスコットキャラ的な存在なんだって」
空をぼうっ、と眺めていた一也くんに話し掛けた。すると、目線だけを私に向けて「空耳だ」と私を馬鹿にするように言った。
この人は、感情を表に出すのが苦手だ。でも、私には分かる。
今の言葉だって、一也くんなりの精一杯の感情が篭ってるんだ。
だから私は「一也くん冷たーいっ」と笑って見せた。
小腹が減った。
不意にそんな言葉が頭を過ぎった。
そういえば、学校行くついでに、コンビニでお菓子を買ったことを思い出した。
ガサゴソ、とカバンを漁り、見覚えのある箱を手に取って、あった、と小さく声を漏らした。
「一也くん一也くん!お菓子食べよっ」
もう1つ最近分かったことがある。
一也くんは、食べ物に目がない。その瞳に食べ物を映せば、一瞬にして目がキラッ、と輝く。その食べ物が甘いものだと尚更だ。