リナリア
調子に乗った私は、回るスピードを速めた。
すると、手から力が抜けた一瞬の瞬間で右手に持っていたカバンが勢いよく、私から離れていった。
う゛っ、と低い声が聞こえ、まさかな、と恐る恐る振り返ってみると見知らぬ男の人が立っていた。
「すみません!本当にごめんなさいっ、お怪我はありませんか!?」
パタパタ、と謝罪をしながら男の人の方へ走った。遠くからじゃ余りよく分からなかったけど、彼の着ていた制服は私の高校のものだった。
でも、私の学年じゃみたことないし、新入生だろうか。
俯いて頭を抱えている男の人は、顔を上げ、私を思いっ切り睨んだ。
思わずヒッ、と声をあげそうになったが我慢して身震いだけした。
明るい髪の色の男の人は、私のカバンを荒々しく私に渡すとUターンして歩き始めた。
「...あっ、あの!」
同じ学校のはずなのに、学校とは真逆の方向に行こうとしているので、男の人を引き止めようとした。