照れ隠し。

幸くんの気持ちを考えると親友と言えど、同情せざるを得ない。


まぁ、もちろんそんな事楓には言えないけど、




「楓、気を付けてね」



これまでに訳の分からない別れを繰り返してきた楓はいつか恨みを買うんじゃないかと心配にもなり、主語のない言葉を楓にかけると、

案の定っと言っていいのか、やはり言葉の意味を理解してないのか、


「ん?」


小首を傾げて目を瞬かせ小さくあたしに笑みを見せた。



…うん、楓は心配無用なのかもしれない。



単純というか、能天気というか、

悩み込まない楓の性格は羨ましいもので、常に前へ前へと進もうとする彼女の精神はあたしには持ち合わせておらず、


あたしとは対照的な楓の性格はとても眩しかった。