照れ隠し。

天性の美貌を持つ楓にはトラブルなんて無縁なのかもしれない。



「いや、楓のそのバカデカいおむすびの具が落ちそうだから気を付けてねって」


「え?…ううわぁ…っ、本当だっ!!」



楓は指差された手元のおむすびに視線を向け慌てて零れ落ちそうなおむすびの具材を口で拾い上げた。


「セーフ、ありがと日和」



無事に具材救出を終えた楓はそのまま米の摂取を始め、握りこぶし1.5倍のおむすびをいとも簡単にたいらげた。



痩せの大食いとはこういうことか、なんて今さら知ったこっちゃないけどさ。



あたしは視線を楓から自分のお弁当へと戻し、小さなお弁当箱の中に残った唐揚げに手を付けた。
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