照れ隠し。

呆れるほどに毎回の如くあたしのお弁当のおかずを掻っ攫っていく日野君は、
全く悪びれることもなく。



「嫌だなー泥棒だなんて。
前川さんのだから食べるんだよ、俺は」


「え、それ泥棒についての否定にもおかず掻っ攫う理由にもならないよ、日野君」


「簡潔にいうとね、俺にとって前川さんは特別なんだよ」


「あたしそんな特別いらない」




日野君はクラスのムードメーカー的な存在で、いつもニコニコしてるし親しみやすい性格。

誰にでも優しいし、おまけに顔もスタイルもいい。



ミルクティーブラウンの髪をいつもワックスで軽く整えていて、制服もお洒落に着こなしている日野君は学校の人気者で、交友関係も広い。



「代わりにコレあげる」


「えっ、これパリス限定のメロンパンじゃんっ!!
え?え?これ、これ貰ってもいいのっ?!」


「うん、あげる」





さらに、日野君はお金持ちなのだろう。

いつも高級店の限定商品をあたしのお弁当のおかずと交換といってくれる。




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