“俺の女”
「あれから
ヒロとの連絡が切れて
会ってもないし
声すら聞いてなかった‥
寂しくて何回も
泣いたよ…
終わったんだなって。」
終わった…
なんて悲しい言葉なんだろう
優しく話す京子さんに
違和感はなく
その話に深く入っていった
「毎日のように
ヒロを思い出しては
後悔するの‥
ヒロの次に浮かぶのは
あんただからね…
ヒロには彼女がいて
あたしは振られたって
毎日思い知らされるの。
…あんたを見るたび
逃げてて、避けてた
でも意味がなかったんだよ
ヒロからは逃げれないもん‥」
「……‥」
あたしはだんだん
胸がいっぱいになってくる
だって
京子さんが
涙を流しながら
話すから―‥
なぜか
その涙がすごく綺麗で
落ちていく粒が
光って見えるの
「ヒロがあんたを
好きっていう現状からは
逃げれない‥
避けたくても
ヒロを想えば
あんたが浮かぶのよ」
京子さんは
あたしから逃げていた
だけど それは
格好だけで気持ちまでは
逃げ切れない
あたしだって分かる
京子さんのこと
気にしないように
してきても
京子さんを見るたび
あの件を思い出す
怖かった思いとかじゃなくて
あたしのこと
どう思ってるのかって
ヒロさんのことを
無意識に思い出しては
無理に理解しようと
してきたんだ‥