“俺の女”
知らない過去
しばらく礼と
マンションの入り口で
座ってた
何も言わず
ただ静かに―‥
するとヒロさんが来た
「大丈夫か‥?
帰るぞ。」
「うん。
礼、歩ける?」
「うん。」
ヒロさんの車に乗り込むと
礼が言った
「ちょっと待ってて‥!!」
「へ‥?!」
礼は車から降り
再び入り口へと戻って行った
なんだろ‥
すぐに礼は帰ってきた
「どーしたの?」
「ん―? ‥鍵返した。
ポストの中にね」
鍵‥?
って合鍵のこと?
やっぱり勇くんは
一人暮らしだったんだ
合鍵を返してきた礼は
すっきりした表情だった
もう吹っ切れたのかな…
「じゃあ行くよ?」
「はい。いいです!!」
車が進むなか
あたしは考えていた
そういえば
あの女の人ヒロさんと
知り合いっぽかったな
二年前の勇くんの彼女で
ヒロさんの知り合いでもある女性‥
あ〜‥
勇くんの彼女だったから
知ってるんだね‥?
だけど
事実か分からないから…
「あの女の人
知り合いなの?」
聞いてみた。