“俺の女”




「あかり?」


礼は怪しげにあたしを見る


「………」



そしてまた悟った


「何かされた?」



黙るあたしが悪い‥

何も言わずキョドる態度に
礼と真奈は確信したんだ



"うん"と頷くと
礼はもっと怒りをあらわにした



「ヒロくんには?
言ったの?言ってないの??」


キスされたことを告げると
そう叫ぶ礼



「言ってないよ‥。
てか言えないよ。」



このまま
コトが終われば
なかったことになる


あたしはそれでいいと
思っていた



「あたしもね、
塾の友達に無理矢理
キスされたんだ‥
告白を断ったら
急に"思い出だ"とか
なんとか言ってさ。」



真奈は下を向き
普通じゃない話を
あたしたちに明かす


「最初は健くんに
黙ってた。
だけどどこか裏切ってる
気持ちになってきて
苦しくなったから
言ったんだ。そしたら
健くんは何も言わなかった。
ただ抱きしめてくれて
"言ってくれてありがとう"
って‥。
まぁあかりとは
状況が違うからさ
同じとは限んないけど
きっと言った方が
ヒロくんのためだと思うよ。」



裏切ってる‥?


あたしはヒロさんを
裏切ってるの?


恵太くんのキスは
例え感情なくとも
キスはキス


言った方が
ヒロさんのため…



礼は真奈の話を聞き
あたしを見て
軽く頷いた




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