“俺の女”
「あ〜!!うんうん
だよね〜‥‥‥‥」
うるさい…
車内で大きな声で
電話してる女性がいた
人目も気にしないで
ひたすら話す女性は
入り口付近に座って
電話をしていた
丁度頭と荷物だけしか
見えない
このあたしのテンションとは
正反対の女性が
気障りで仕方ない
1時間待ちのせいか
満員の人で溢れかえっていて
そのほとんどの人が
女性の声に苛立っていた
満員だけど
静かな車内
聞きたくなくても
耳に入ってくるその声に
次の瞬間
あたしは凍り付く
「でさぁ〜今さっきまで
元カレといたんだけど、
ん?あ〜ヒロだよヒロ!!」
……!!!!
ヒロ?
「いや〜仕事場まで
押し付けてさ、
駅まで送ってもらったの。
あたし車ないし
駅までの距離長いでしょ?
だからヒロに頼んだ♪
…‥そうそう。はは‥」
ヒロって…
ヒロさんじゃないよね…?
まさか‥だよね
「でもさぁそのヒロにはね
今彼女いるんだけど〜
これがさぁまた
似合ってないんだなぁ!!
だから奪っちゃおーかなぁ
なんて思ってんの♪」
すごく気になって
耳を傾ける
違うかもしれないし‥
ヒロって名前も
偶然かもしれない