“俺の女”




[次は…駅〜 …駅〜
お降りのお客様は…]



車内のアナウンスがなり
自分の駅に着くことを知った



だけど
出る時に理乃さんの横を
通らなければいけないんだ


あたしの顔
覚えてるのかな…


目が合わなきゃいいけど




出口付近に集まる人混みに
紛れて立ち
ドアが開くと共に
一斉に出る



理乃さんはその人混みに
邪魔だとやっと気付いたのか
立ち上がり
案の定…‥



「あ…」


「…っっ‥!!」



あたしは無意識に
理乃さんの方へ視線を
向けていたため
目が合ってしまった



後ろから押されながら
外に出るあたし
理乃さんはそれに逆らい
中へ入っていく


そして見えたんだ



密かに浮かんだ
理乃さんの微笑みが―‥




……!!!



なんで笑ったの?



人が降りきった後
あたしは一人ホームで
電車が行くのを見送る


というより
理乃さんから目が
離せなかったから



ほぼ空っぽ状態の
車内の中で
理乃さんは椅子に座って
こっちを見てる



今度は何が起きるの…



あたしの大切なものを
また奪おうとしてる人がいる



お願いだから



やめてください―‥






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