“俺の女”
「昨日‥ヒロさん
駅にいたよね‥?」
「………」
なんで黙るの‥?
動きも止まったヒロさん
駅にいたのは
わかってるの
理乃さんといたことも
わかってるの
そのソワソワした動きは
何を表してるの?
「ごめ‥」
「理乃さん??」
「……!!」
謝ろうとするヒロさんに
あたしは理乃さんの名前を被せた
ゆっくりと私を
見るヒロさんの顔は
引きつっていた
「駐車場でヒロさん
見掛けて、電車で
理乃さんとも会って
電話の話が聞こえてきて
分かったの。」
「………」
「別に一緒にいたからとかで
言ってるんじゃなくて
…嘘をついたことを
聞いてるの‥」
視線をあたしからズラし
遠くを見てヒロさんは
喋り出した
「嘘ついてごめん。
だけどあかりを
騙そうとか理乃と何か
あるとか、そんなの
全くないから!!
仕方なく駅に送っただけで
本当に何もない‥
ただ、あかりが不安に
なると思って言わなかった」
確かに
理乃さんと一緒にいるって思うと
不安になってたと思う
だけど
今の方が辛いよ
嘘つかれる方が
これから先が
不安になるんだよ