“俺の女”
「‥初めて嘘ついたね
あたしに…」
「…本当にごめん
でももうしないから」
「理乃さんと
連絡とってるの‥?」
「いや‥
俺からはない。けど
向こうはまだ俺の番号
知ってたから‥さ」
言葉が詰まるヒロさん
初めて見るその弱々しい姿が
あたしにはキツかった
まるで
悪いことをした子供が
親に叱られているようで
あたしとヒロさんには
似合わない風景だった
「あたし‥すごく
ショックだった‥
理乃さんと会った時
体が凍り付いたように
動けなかったの。
怖い‥怖いって
体中が悲鳴あげてた…
でもヒロさんのこと
大好きでどうしても
離れたくなかったし
負けないって思ったから」
「負けない?」
「うん。負けない。
理乃さんはあたしから
ヒロさんを奪うって
言ってたの。
でも今回ばかりは
弱きじゃいられない。
今まで色んなことあったけど
もう下がらないよ‥」
「‥俺はあかりだけだ。
心配や不安はもう
与えないから
安心して俺の傍にいろ」
暗い公園内で
ヒッソリとベンチに座る二人
その中で安心とは何か
考えるのには最適だった