“俺の女”
「ごちそう様でした」
とある店で
昼食を済ませた
そこで一休憩し
ヒロさんはタバコを吸う
あと一ヶ月‥
ヒロさんは東京に行くんだね
あたしはまだ
そのことばかりが
頭に浮かんでた
「ヒロさん‥
あたしを捨てないでね」
気が付いたら
そう言っていた
「‥何言ってんだよ。
そんなこと心配すんな」
「だよね‥ ハハ‥」
ヒロさんがそんなこと
するはずないよ
何言ってんだろあたし‥
タバコを消して
真剣な表情になるヒロさん
「俺はもう大人だ。
別にこっちに帰ってこようと
思ったらいつでも一人で
帰ってこれる。
ただ美紀だって向こうで
一人で頑張るわけだし
婆ちゃんや親のことも
心配だから一緒に行くんだ。
一応俺は長男だし‥
わがまま言ってられねぇだろ?
あかりから離れるために
行くんじゃないから
意味分かんねぇ心配すんな」
真っ直ぐな瞳に
力強い言葉
そうだよね
意味分かんないこと
言ってるよね
あたしたちは
信じ合えてるの
だから
怖いものなんて
何もないよ
ヒロさんとは
そんな簡単に離れたりしないよね
「ごめんね。わかってる」