“俺の女”




そして遠くからでも分かった
あたしの大好きな人



「ヒロさん!!!!」



あたしは人目もはばからず
大きな声で叫んだ


走った足も止まらず
回りから見れば
恥ずかしい光景だろう



ヒロさんはその声に
辺りを見渡していた


そしてあたしに気付いた



「…なんで?」


息を切らすあたしに
ヒロさんは言った


「やっぱり会いたくて…
最後までヒロさんと
話したくて来たの」



驚きを隠しきれない様子の
ヒロさんはあたしの手を引いて
人のいない場所へと移動した



「来るなって言ったろ」

「だけど…だけどね
あたしは彼女だし
来ずにはいられなかった」


すこし困った顔をするヒロさん



やっぱり…怒ってる?よね‥




すると荷物を置いて
あたしを引き寄せるヒロさん



え……‥?



「嬉しい…」



そう聞こえたのは
あたしの聞き間違い?



「ヒロさん?」


「来るなって言ったのは
別れるのが辛いから
言ったんだ。
実際は来てほしかった。
だから…嬉しい」



聞き間違いじゃない


あたしだって
見送りは辛いから嫌だった

だけど
一生の別れじゃないんだから
寂しくないって
強くなったあたしがいたんだ



「怒ってない…?」


「うん。」


そしてあたしは気付いた





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