“俺の女”





時刻は夜の9時過ぎ



あたしとヒロさんは
一室のドアの前にいた



ヒロさんと同じマンションの
三階に理乃さんの部屋はあった



美紀さんから聞いたんだ




ベルを鳴らし
少しすると返事が聞こえた


[はい‥]


「俺だけど。話がしたい」



[‥っヒロ?! な‥んで‥]


スピーカーから
慌ただしく聞こえてくる
理乃さんの声



「開けろよ」



[………]



無言の後、少しして
玄関の鍵は開き
そっと扉が開く



立ち位置的にあたしの方が
先に目に入り
理乃さんは目を見開いていた



ヒロさんだけだと思った‥?


まさか彼女まで来てるとは
予想してなかった‥?



なんせあたしは
カメラから外れていたから
ビックリするのも無理はない



「話って‥」


「分かってんだろ?
勝手なことして
こっちは迷惑なんだよ」



はっきりと言う
ヒロさんの言葉に
悲しい表情を見せた理乃さん



「ヒロは‥何も分かってない‥
ヒロは‥‥っ」



泣き出した理乃さん
それを見つめるヒロさん
その光景を見てるだけのあたし



その時、隣の部屋から
住人が出て来て
こっちを不思議そうに見てきた



この光景‥変だよね‥




< 307 / 421 >

この作品をシェア

pagetop