“俺の女”
時刻は夜の9時過ぎ
あたしとヒロさんは
一室のドアの前にいた
ヒロさんと同じマンションの
三階に理乃さんの部屋はあった
美紀さんから聞いたんだ
ベルを鳴らし
少しすると返事が聞こえた
[はい‥]
「俺だけど。話がしたい」
[‥っヒロ?! な‥んで‥]
スピーカーから
慌ただしく聞こえてくる
理乃さんの声
「開けろよ」
[………]
無言の後、少しして
玄関の鍵は開き
そっと扉が開く
立ち位置的にあたしの方が
先に目に入り
理乃さんは目を見開いていた
ヒロさんだけだと思った‥?
まさか彼女まで来てるとは
予想してなかった‥?
なんせあたしは
カメラから外れていたから
ビックリするのも無理はない
「話って‥」
「分かってんだろ?
勝手なことして
こっちは迷惑なんだよ」
はっきりと言う
ヒロさんの言葉に
悲しい表情を見せた理乃さん
「ヒロは‥何も分かってない‥
ヒロは‥‥っ」
泣き出した理乃さん
それを見つめるヒロさん
その光景を見てるだけのあたし
その時、隣の部屋から
住人が出て来て
こっちを不思議そうに見てきた
この光景‥変だよね‥