“俺の女”




やっと言えた言葉に
嘘はなかった



あたしはヒロさんが好き
これからもずっと大好き


今までだって
なんとか傍にいてきた


幸せだ!!って心から思えた


そんな大切なことを
捨ててまで
ただ傍にいたいというのは
理乃さんは悲しいよ



幸せがあって
改めて分かる大きな存在を
大切にしたいの



理乃さんにも
そうであってほしい
女の子なら皆
そうであってほしいんだ




「もういい…出てって…」


「え‥?」


「分かったから
今日は帰ってよ」



目線を合わせず
どこかの部屋に入ってしまった
理乃さんを目で追う



「あかり‥帰るぞ」


「でも‥」


「いいよ。今日はもう
帰って休もう
これ以上言っても
何も聞いてくれないから」


「うん―分かった」



二人は部屋から出て
ヒロさんの部屋に戻った




「悪かったな‥」


「なんで謝るの?
ヒロさんは何も
謝るようなこと
してないじゃない」



「そうか‥そうだな」


「ヒロさん‥あたしね?
理乃さんがここに来た
理由が知りたかったの。
だから、どんな理由でも
聞けてホッとしたんだ。」



たとえ、ヒロさんを
追っかけて来たとしても
それが分かったから
あたしは何とか不安には
ならないと思う―‥






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