“俺の女”





湯船に浸かりながら
ゆっくりと天井を眺めていたら
外から騒がしい音と
叫ぶヒロさんの声がした



なに―‥?



ガチャン…!!!



え?!

玄関が閉まる音と共に
静かになる部屋



あたしは慌てて
お風呂から出て
着替えを済まして
洗面所から出た



何も聞こえない部屋
ヒロさんも…いない?



やっぱり
何かあった?




濡れた髪のまま
上に何も羽織らず
玄関に向かい外に出る



ヒロさんの靴もなかった



どこに行ったの?
騒がしくて
普通じゃない叫び声…



何があったの?



玄関の扉を閉め
その場に立ち尽くした


廊下は長く
隣の部屋からは
明かりが見えた



風邪は入ってこないとはいえ
真冬のこの時間は
耐えきれない寒さだった




中に入って待ってよっかな


あ…電話。



中に入りヒロさんに
電話をすることにした




携帯を持つ手が震えてるよ‥
なに緊張してんの


バカかあたしは


きっと仕事か家族のことで
急用ができたんだよ



そうだよ‥


じゃなきゃ他に何が―‥‥


大きな物音たてて
あたしに何も言わないで
行っちゃった理由は‥?





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