“俺の女”





「どこ行くんだよ!!」


「…っ!!」




走るあたしの腕を
力一杯に引っ張ったヒロさん




「こんな夜中に一人は
危ねぇだろ。
一緒に帰ろ」



「いい…」


「よくない」


「いいってば…」


「なに怒ってんの?
ちゃんと話しねぇと
グダグダじゃ嫌だろ」



「………」


「おい‥」



「………」


「あかり?」





ヒロさんの手から
伝わってくる汗の湿り




変わらず力一杯に握ったまま
目線はあたしに真っ直ぐ





どうすればいいの‥




あたし間違ってないよね





どうして




ヒロさんを意識して



止めてくれたことを
ホッとしてる自分がいる







「今更 何を話しても
結果は変わらないんだよ‥」



「なんで?」



「もう決まってるから。
ヒロさんに
あたしは必要ないの。
理乃さんはヒロさんが
いないと生きていけないんだよ」




怖いんだ




人が傷付くぐらいなら
あたしが心の傷を追ってやる




例え




愛する人を失っても





それでも




あたしは離れる







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