“俺の女”

泣かない




泣けないよ





礼の優しい顔に
あたしは涙腺が緩む





礼と離れて一年




寂しさが今がきた




ヒロさんの別れも
あたしには大きかった



けど礼がいてくれたから
寂しさなんて
感じなかった

感じなくて済んだんだ





"無くなった"




ヒロさんの存在が
あたしの中から消えたといったら
嘘になる




でも



目の前から
いなくなったことは確かで


ヒロさんの温もりは



無くなった




礼が東京に出てから



一人になった瞬間




寂しさと切なさが
一気に込み上げてきたんだ





それは、どうしてか分からない





分からないけど





我慢してたのかもしれない




｢あかりから聞いた時
本当に吹っ切れてると感じた。
でも今のあかりの顔‥
何か待ってるような
寂しい顔してるのよ｣



｢顔‥？｣



｢うん。一年前と
全然違うもん。
疲れとかじゃなくて
悲しい顔してる｣





悲しい顔‥




あたしの顔が



正直に表してた




気持ちはなくても
顔に出てたなんて
気付かなかった



｢あかり‥
あたしには無理しないで｣