“俺の女”





「逃げてるだけじゃん」


「違う‥」


「違わないよ。」





礼は不満げに話す





いつもなら
あたしの気持ちに乗ってくれるのに



嘘でもいいから




"次の恋でも探そうか"




って




楽に話そうよ‥―





「あたしは‥」

「あかりも理乃も
逃げてるだけ。
理乃のやり方なんて
最低だし、それに同情してる
あかりも最悪。
ヒロくんもヒロくんだよ。
好きな気持ちなんて
一つしか持ったらダメなんだよ。
一人しか愛しちゃダメなの。
時間とか距離とか関係とか、
何かと理由にして
みんな逃げてるだけじゃん。
なにが怖いの?
なにが不安なの?
なにが愛よ‥あかりにとって
ヒロさんは、それまでの人?
違うでしょ。
あかりが愛したヒロさんが
今迷ってるとしたら
迎えに行くとかしないの?
それぐらいの大きさや深さを
あかりはまだ持ってるじゃない!!」



「迎えに行くなんて‥
できないよ。
あたしは、もう…」



「もう関係ない?
あたしは切りました。って?
それが逃げてるの。」





やだ‥…




何も言えない





どうして




一度決めた思いが



崩れていきそう‥





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