“俺の女”




「無理…だよ」



「行きたいの?」



「………」




行きたい?




行きたくない…




でも






ヒロさんに



会いたい‥―





"俺の女"と聞いてから
心が騒がしいの



相手が恵太でも
どうしてか
ヒロさんの言葉になって
あたしを震わせる





これは





「行こ」




消せない




あたしの中から
消えなくて



どこかで
守っていたのかもしれない






「うん」





だったら



きちんと忘れたい



もう
ヒロさんを望んだりしないためにも





会って



きちんと終わりたい






体に染み付いたヒロさんを





全部、消そう







「とりあえず、仕事場から
連休もらいなよ。
早めの方がいいから」



「うん。」




ヒロさん




離れていても


やっぱり
あたしの中には
貴方がいた





今、どうしてるの?




幸せにしてる?





会いに行ったら
なんて言うかな




どんな顔するかな





その隣には




誰がいるのだろう






あたしの背中を送る時




"さよなら"って




笑おうね

ヒロさん







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