“俺の女”
「ヒロさんに電話したの?」
「うん」
「なんで?」
静かなメロディーに包まれる
この空間で
それより遥かに
静かな二人
運ばれてきた紅茶も飲まず
恵太はあたしの目も見ないでこう言った
「だって‥おかしいだろ‥
あかりさんだって
あいつだって、嫌いで
別れたんじゃねーし
納得いってんのかよ」
「納得してるよ」
だから、別れたんじゃん
ヒロさんも納得‥
「してねーよ」
「え?」
「あいつは納得してねーって
言ってんの」
「‥どうして‥?」
「知らね。もう一回行って
確かめてこいよ」
「そんなこと‥」
なんで また行かなきゃいけないのよ
お互いに"さよなら"して
納得したはず
「行って、あいつに聞けよ。
あんなに時間が掛かったんだから
何か理由があったんだろ?
なんで それも聞かねーで
別れて帰ってくんだよ」
恵太は
あたしにどうしろって言うのよ
今更
そんなの聞いたって
何も変わらないのに‥