“俺の女”





そもそもヒロさんは




"今はまだ言えない"




って言った





「行ったって一緒だよ
聞いて、教えてくれなかったのは
ヒロさんだし
今更、何言われても
あたしはもう‥」




「一人立ち、会社経営、
愛する人のために
安定した生活を手に入れたい。
あと一歩のとこで、あかりさんが来て
別れを告げられた。
まだ完成してない自分だから
言うこともできず、
そのまま別れた。
けど、やり続けたことは
最後まで頑張る、って
今もまだ取り組んでる。
‥そんな理由でも
あんたは別れたのかよ」




一人立ち‥?



会社経営‥?





愛する人のため‥?





ヒロさんは一体‥―




「えっと‥」



「向こうで自分の会社を
立ち上げようとしてんだよ」





そんな‥





ヒロさんは何も言わなかった





あたしのために‥?





"もう少し待ってくれないか?"





そういうことだったの?





「あたし‥何も知らなかった」



「知ろうともしてねーだろ。
ま、あいつも情けねーけど
あかりさんもだな」





ヒロさんは あたしのために





あの1年4ヶ月の間





ずっと頑張ってたんだ







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