“俺の女”






車の中、マンションのエレベーターの中、



目が会う度に




少し微笑む二人





照れているのか‥



どう笑えば良いのか分からず


頬を上げるだけの笑み







あたしはヒロさんに謝りたい





気付いたんだ




やっぱり嫌いになんてなれなくて




好きな気持ちでさえ
隠しきれなかった





恵太から切符を渡された時も



迷わず受け取った






今までの間を
早く埋めたくて




ヒロさんの愛を
もう一度、感じれるなら





あたしは迷わない。







「どーぞ」


「ありがと」




ソファーに座り
ヒロさんが淹れてくれた
甘いコーヒーを飲む





"落ち着く味"とでも言えるこの味は


あたしの一番の好物になった





「ヒロさん、ごめんなさい。
あたし何も知らないで
勝手なことばっかり言っちゃって…」




自分勝手で


ヒロさんの気持ちなんて
知ろうともしなかった





こんな、あたしを許してください





「俺こそ、ごめん。
言えば良かったんだよな‥
格好つけようとして
結局は格好悪くなんだもん」





情け笑いをするヒロさんが




なぜか格好良く見える





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