“俺の女”
「…暑いねぇ‥」
礼が持っていたタオルで
あおぎながら言った
7月の終わりがこようと
してるこの季節
夜は蒸し暑くて
たまらなかった
そこに一台の車が
向かってきた
「あれかなぁ?」
礼はその車を見ながら言う
ライトで車がはっきり
見えないため
ヒロさんたちなのか
分からない
だけど車のスピードは
徐々に落ちていき
あたしたちの横で停車した
ヒロさんの車じゃない‥
助手席側の窓が
ゆっくりと開く
「ごめん!!
遅くなった!!!
あれ?ヒロの女も
いるじゃん!!」
運転席から顔を
覗かせ元気に喋るのは‥
「勇!!遅いよ!!
あかりも一緒に
待っててくれてたの!」
勇くんだった
助手席にはヒロさんが
座ってる
この車よく見れば
ベンツだ‥!!!
勇くんの車で
来たんだね‥
するとヒロさんが
「礼ちゃん勇と話
あるんだろ? はい」
そう言って車から
降りてきた
礼は頷き
そのまま助手席に乗った
「じゃぁその辺で
待っててな!
また来るから!」
「おう」
勇くんが元気に
そう言うとヒロさんは
静かに返事した
あたしは礼を見て
"頑張って♪"と
口パクで伝えた
礼は苦笑いを浮かべた
車は真っ直ぐ行き
どこかで曲がって
いなくなった