キライの反対のスキ



「昨日の美雪の話を聞いてあいつにちょっと話でもしてやろうかと思ったんだけど…」


えっ…


「だけどごめん、うちも昴も急用ができてそっちに行けなくなったんだ。」


「あたし嫌だよー、あいつと一緒に居るなんて。」


あたしは泣きそうになったのをぐっとこらえた。


「だょねー、ごめんね。昴に電話してもらって今日のことはなかったことにしてもらうよ。」


だけど、せっかくあたしのことを思ってやってくれたことだからあたしは今日1日村瀬くんと一緒に居ることを決めた。


「優花、わかったょ。頑張って今日1日だけ居るよ。村瀬くんと。」


そういってバイバイと言って電話を切った。


頑張れ自分!今日1日少しの間だけ村瀬くんと居ればいいだけだ。


そう自分にいい聞かせ後ろに居る村瀬くんに話しかけようと思った瞬間、村瀬くんは大量の女子達に囲まれていた。


「きみ、カッコイイわねー。誰かと待ち合わせなのー?」


「はい、彼女と待ち合わせなんです。」


そう言って村瀬くんはあたしの肩をぐいっと自分のほうに寄せた。


か、彼女!?


なに言ってるの!!


あたしは思わず下を向いてしまった。


「なーんだ、つまんないの。彼女居たんだ。」


彼女が居たということがわかるとさっきまで村瀬くんの周りにたくさん居た女子たちが次々に居なくなっていた。村瀬くんは平然としていた。


「さっ、うるさい女達は居なくなったところだし、どっか行く?」


「その前にあたしは村瀬くんの彼女なんかじゃないし!!なんでそんな嘘つくのよ!!」


「だって、女友達っていうより彼女って言ったほうが効果あると思って(笑)」

意味わかんないし!


あたしのイライラは積もるばかりだった。
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