またキミに逢えた日に
あの日の思い出
あの日、佑樹といつもの帰り道。
夕日に2人の陰がならんでた…。
学校からの坂は小学校低学年のうちらにとってはとてもつらかった。
背が小さくて、少し頼りない後ろ姿。
優しくうちの手を握る小さな手。
幼なじみのうちと佑樹はいつもこう2人して並んで帰っていた。
佑樹は野球のクラブチームに入っている。うちも佑樹も野球が好き。
ルールだってうちはそこそこ知っていた。
「ねぇねぇ佑樹?」
なぁに?と優しく微笑みながら応えてくれた佑樹の顔はまるで天使のようだった。
うちは佑樹の笑顔がたまらなく大好きだ。
「甲子園ってどんなとこ!?」
うちの思いがけない質問に驚いたようだった。
少し考えた顔をしてから佑樹が口にした。
「とにかくめっちゃすごいんだ。すんごーく広くて、俺が行きたい場所」
「へぇー。じゃ連れてって!!」
え?と佑樹は唖然としていた。
「佑樹が行くならうちも行く!」
出たよわがまま、と言いたそうな顔をして小さく微笑んだあと佑樹は
「うん。良いよ。覚えててね」
って笑ってくれた。
それがものすごく嬉しくて、佑樹に飛び付いたのを覚えている。
あの時はまだ何の感情も無かった。
ただ佑樹と一緒に居ることが当たり前だっただけ。
あんな事が起こるまでは…