神の雫
現代、日本…
都心の片隅にひっそりとたたずむ、古びた洋館。
それを取り囲む庭に生い茂る大木の群は、手入れもされずまるで原生林の森さながら。
そのため昼でもあたりは薄暗く、年代を感じさせるその姿は、今は没落してしてしまったこの家を、そのまま体現しているようだった。
そんな屋敷のテラスに、一人の少女がたたずんでいた。
少女の名は観ノ宮 鈴蘭(カンノミヤリラン)。
病に倒れた祖母にかわり、今は没落したこの観ノ宮家の、現当主である。