神の雫

資産家の名家、綾小路家の嫡男、綾小路武光が鈴蘭を嫁に欲しいと言ってきたのはつい最近のこと。

滅多にパーティーにでない、(というかむしろお呼びがかからないと言う方が正しい、)観ノ宮家が、たまたま呼ばれたその席、祖母菊乃にかわりに初めて挑んだ公の場で、その会場にいた男性のほとんどが、その少女の姿に釘付けになった。

背中に流れる漆黒の黒髪。
陶器のような滑らかな肌は薄桃色のドレスでその魅力をより輝かせ、
なにより、彼女のその笑顔は、その場にいたすべての人々を魅了した。


落ちぶれ名家に、まさかこのような娘がいようとは…?!





…その翌日からだった。
観ノ宮家を援助したい、との申し出が殺到したのは。
もちろん、まだ16になったばかりの鈴蘭との結婚という条件つきで。






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