神の雫
「そうそう!忘れてたわ!
小峯、あれを」
「はい、奥様」
そう言って小峯が取り出したのは、古い小さな小箱だった。
木で出来ているそれには、観ノ宮家の紋章が堀こんである。
「鈴蘭、これは我が観ノ宮家に代々伝わるものなの。」
菊乃は小箱を受け取ると、鈴蘭の手に握らせた。
「開けてみて?」
鈴蘭は、少し緊張した面持ちで、その蓋を開けた。
ぴったりと重なっていた蓋は、少しの力でまるで滑るように、すぅっと持ち上がった。
「うわぁ、きれい…」
思わず目を見開いた。
そこにあったのは首飾り。
細いシルバーのチェーンをつけた青い宝石は、光りを浴びるとその色をエメラルドグリーンにかえる。
それは、まるで澄んだ海のようだと鈴蘭は思った。