詩集 無名の銃弾
帰途の風景
『帰途の風景』
ひとつひとつ
核心に向かっている君は
いつもそのことを気づかずに
苦しむ
だが誰もがそんなものだから
当然のごとくに君は
心に過ぎゆく幻燈の影を
あたかも本当の闇のように
感じるだろう
僕は少し離れて見ているから
それを昔話の影絵
だと知っているけど
さて自分にその闇のような暗黒が
覆い被さったら
きっと飲み込まれまいと
あがくのだろうな
知っていてもそれは
戦慄に満ちている
君が苦しむと呼び起こされる
僕の中の或る脈動…パルス
愛と呼べるのかなそれを
悲しみというのかな
いいやそれは
いいや