いつか、透明になったら

オバサン



おばさん、元気?


もうおばさんのこと


お母さんって呼ばなくなって


随分経ったよな。



生みの親なのに


なんか反抗期の照れもあって


上手くお母さんとか


言えなくなった。



敢えて呼んでんだけどね。



たぶんもう少し人生悟ったら


大人になって、ちゃんと


言えるようになるはず。




正直、あんたには山ほど


言いたいことがある。


批判的なことでね


今でこそこんなに


口が達者になったけど



ちっさい頃は


言葉もろくに知らなくて


親の喧嘩を止めるにも


泣き喚くことでしか


納める術を知らなかった。



ホントはそんなこと


意味なかったけどさ。



だってこっちがどんなに


泣き叫んで止めても


やめてくんなかった。



自分がもっと大人だったら


力も勝って、反論できて


こんな辛い思いなんか


しなくて済むのにって


いつも心の中で


こんな家に生まれてきたこと


憎んでた。


そう仕向けた神様がいたなら


運命を呪ってた。



その位、


家族が大嫌いだったよ。



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