しろねこ*プリンス
第一章





「おー、にゃんこ!おはよう!」





「はよー。」





「にゃんこ!遅刻ギリセーフ!」





「あぶね。」





俺の名前は猫柳 桜介(ネコヤナギ オウスケ)。





この変な苗字のお陰で出来たあだ名は





『にゃんこ』





ちっとも可愛いキャラではない俺には
世界で一番似合わないあだ名だと思う。





こんな無愛想な俺にも好きな子がいる。





「ぐわ最悪だ!一限の教科書忘れた!」





自分の髪の毛をグシャグシャにして、
騒がしく叫んでいる隣の席のこいつ。





「申し訳ない!教科書見せて!」





右手をゴメンのポーズにさせながら
左目を閉じている。こいつは男かよ。





「ん。」





俺は無言で隣の机に自分の机を寄せる。





「ありがとう!桜介!」





俺のことをただ一人名前で呼ぶこいつ。





ベリーショートの栗色の髪の毛に、
目が丸くてほっぺたは優しい桜色。





どこか親父臭い仕草をする彼女の事は
女の子らしいとは嘘でも言えないけど
俺にとっての“女の子”はこの子だけ。





犬走 桃花(イヌバシリ モモカ)。





俺の初恋の相手はこの犬走桃花で、
その初恋は現在進行中でもあった。





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