しろねこ*プリンス





俺が無愛想になったのにも理由がある。





ピンポーン





10年前の暑い夏の朝。





小学生の俺は桃花の家の呼び鈴を
一生懸命背伸びをして押していた。





「あら?桜介くん!桃花かしら?」





インターホンから桃花のお母さんの
明るくてよく通る声が聞こえてくる。





「はい!桃花をお呼びお願いします!」





「ふふ!仲良しなのね!待っててね!」





母ちゃんの教訓の中にこんなのがある。





『年上の人には必ず敬語を使う。』





『頼む時はお願いしますを言う。』





幼い俺にとって母ちゃんの教訓は絶対
守らなくてはいけない約束だったから
年上である桃花のお母さんに覚えたての
変テコな敬語を使っていたんだと思う。





トタ トタ トタ トタ!





ガチャッ! バタンッ!





「桜介!桜介!桜介!おーすーけー!」





桃花が元気よく玄関から飛び出してきた。





「桃花!俺これからカブトムシ捕りに
 行くけど桃花も一緒に捕りに行こ!」





「うん!行く!桃花も行く!へへへ!」





「やった!桃花とカブトムシ捕りだ!」





俺たちは生まれたときから一緒だった。





3月3日
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