私の空・僕の先生
初デート
あれから数日後、私は学校の廊下を歩いていた。

誰かに肩をつかまれ振り向いた。

「前田先生・・・」

「どうしたの?最近、元気ないみたいだけど」

「エッ…ううん、なんでもない、元気だよ。」

私は無理して笑って見せた。

アッ君は困った顔で、

「やっぱり、元気ないじゃないか。…今晩、仕事終わったら、会える?」

「うん。・・・会おう」

私はなんだか気が引けたけど、会うことにした。

「じゃあ、いつものところで」

「うん。後でね」

 仕事が終わり、私は待ち合わせ場所にいた。

私たちは食事を済ませ、アッ君の家に向かった。

アッ君は、私の手を引いて、部屋に招き入れた。

・・・そして、私をそっと抱き寄せた。

「美樹・・・何か、悩み事があるなら、なんでも話して」

私は何も言えず、アッ君の胸に顔を埋めた。

アッ君は黙ったまま、私の髪にキスをした。

私の目から、涙が溢れ出す。

・・・私はいったい、誰を想って、泣いているのだろう・・・

アッ君は、私の頬やおでこにキスをして、最後にそっと口にキスをすると、私を抱き上げ、ベッドに連れて行った。

「敦・・・」

優しく抱いてくれたアッ君・・・

「美樹…オレは、本当に美樹を愛してるよ…だから、なんでも話して」

「うん・・・私ね、この間…告白されたの」

「…エッ?!」

アッ君は、凄く驚いていた。

「私もアッ君のこと…愛してる…だから、離さないで」

「離すわけないだろ。オレには美樹だけなんだから」

「うん・・・」

私はアッ君に抱きついた。

アッ君を愛してる…

でも、どこかで、空に惹かれている自分がいることに、少しずつ、気づき始めていた。
 
それからアッ君は、仕事が終わると毎日、私の家に来るようになった。

アッ君といるときは、空を忘れられた。

「美樹、今日は、仕事で行けそうにないんだ・・・大丈夫か?」

「フフ・・アッ君は心配性だね。大丈夫、仕事頑張って」

アッ君はニッコリ笑って頭を撫でた。
私は、いなくなるまで、アッ君を見つめていた…今日は一人か…

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