真夏の雪
鈴「ユキってなんだか不思議。
雪斗「何がだよ?
鈴「なんだか落ち着くの。一緒にいると。
雪斗「…そうだな。俺もそうかな…。
二人の間に沈黙が訪れた。
しかしそれは気まずい沈黙ではなくて、どこか心地よさを覚えた。
そして…
先に沈黙を破ったのは…鈴だった。
鈴「ユキ…。
雪斗「何だ?
鈴「手…握ってもいい…?
雪斗「……。
俺は無言で右手を差し出す。
鈴は俺の右手を小さな手で包むように…
小指を鈴の手全体で弱々しく握る…。
あまりに鈴が遠慮がちに握るから逆にこっちが恥ずかしくなってきた…。
雪斗「手…くらい…いくらでも繋いでやるよっ。
照れ隠しに少し強がってみた。
鈴「…ほんと?
雪斗「ああ。
鈴「じゃあ…。
鈴は一度ためらって…そして言った。
鈴「ずっと…。
ユキの手、握っててもいいですかっ?
俺の右手はもう鈴の手全体で覆われ…
力強く握られていた。
雪斗「…鈴。
いつもの坂道が見えてきた。
二人で長い坂道を登っていく。
手を繋いで。
俺は…鈴の事どう思っているんだろう…?