真夏の雪
配っているうちに結構遠くまで来てしまった。

雪斗「まだ少し残ってるな。


そうしてすべてを配り終わる頃には夕方になっていた。


その上迷子にもなっていた。


雪斗「…どこだよ!ここっ!


俺はちょっぴり後悔した。

いつもみたく行き当たりばったりでやりゃあよかったって…

仕方なしにヒッチハイクでもしようかと思ったけど…。

車らしい車は農業用のトラクターくらいしかなかった。


雪斗「……。
歩くか。



くそう…帰る家があるってのも面倒くさいな…。


トボトボ歩く…。


歩けど歩けど田んぼ道…。


なんだよ、この開放感溢れる道はよ!


…文句いっても仕方ないよな。
俺には歩くしかないのだ。


とりあえず目の前に見えるあの白い建物をめざそう。


そうすりゃ何か変わるさ。



…きっと。



しばらく歩くと、だんだん建物の正体がわかってきた。


雪斗「…病院だ。


都会の病院と比べると小さく感じる。

それでも4階建てのマンションくらいの大きさはある。

前には駐車場もあるし。





…駐車場?



ちょうど病院を出ようとする車が見えた。


雪斗「ストープッ!

< 54 / 79 >

この作品をシェア

pagetop