真夏の雪
琴音「いってらっしゃい、鈴。


鈴「はあい。



雪斗「俺も行くよ。

鈴「はいっ。


カランカランと言う音とともに外にでる。


いつもと同じ風景…日常的に流れる時間が…。


大切に思える。


二人は自然と手を繋いでいた。


鈴「ユキ。


雪斗「どうした?


鈴「もうすぐ完成するんです。


雪斗「そりゃあ、楽しみだな。
鈴頑張ってたしな?


鈴「……。



雪斗「鈴?


鈴「完成したら…。もうユキに会えないな…って思った。


雪斗「会おうと思えば何時だって会えるよ。


鈴「でもやっぱり会えないのは寂しいですっ。



雪斗「じゃあ、有名になって…
テレビつけたらいつでも会えるようになってやるよ。



鈴「…うん。


俺は…鈴に言ってから自分が何を言ったのか理解し…


…そして、後悔した。


今…鈴はどれくらい見えているのだろう…?


もうほとんど見えないんじゃないか…?

今こうして外を歩いているのも危ないんじゃないか…?


そんな事ばかりが脳裏をよぎる。


…だめだ。鈴は最後まで日常でいることを選んだ以上俺も普通でないといけない。


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