初恋タイムスリップ(成海side)



それから音楽の授業は、合唱の練習になった。


音楽室に入り、まだ、瀬戸先生が来てなかったから、

自分の席で、指揮棒を持って考えた。

楽譜は読める。

でも、指揮なんてやったことがなかったから、

正直やり方が全くわからなかった。



4拍子?

こうか?

1 2 3 4・・


「成海、なってねーし。なんだそれ。

勉強はできても音楽はだめってか」


隣で篤志が、あきれるように笑った。


「なんだよ。じゃあ、お前やってみろよ」



俺は、篤志に指揮棒を渡した。


「こうだろ。こう、こう!」


・・・お前こそなってねーよ。


あああ・・・これはやばいな。


桜木の前で赤っ恥だ。


その時、ピアノの音がしてきた。

桜木がピアノを練習し始めたようだ。



そうだ・・


桜木に、聞いてみるか。


俺は、席を立って、グランドピアノへと歩いた。






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