初恋タイムスリップ(成海side)
しばらくして優くんの受付番号が、壁のテレビ画面に映り、優くんたちは中待合室に入っていった。
私はそのままフロアの方で座って待っていた。
すると診察室から白衣の男性が出てきて、
受付のパソコンを見た。
そして顔をあげ、私と目が合った。
……成海くんだ……
首に聴診器をかけている白衣姿の成海くんを見て、
本当に夢を叶えたんだな…かっこいいな…と、
なんだか胸が熱くなってしまった。
成海くんは受付の女の子と少し話してから、
こちらに近づいてきた。
スラッと背が高く、足が長い成海くんには、白衣がとてもよく似合っていた。
真剣な顔が、私を見てふっと笑顔になった。
笑うと成海くんは一気に幼くなる。
「びっくりしたよ。どうした?」
私は思わず椅子から立ち上がった。
目の前の白衣の成海くんに、胸の鼓動がおさまらない。
「ごめんなさい…勝手についてきちゃって…」
私はぐっと下を向いた。
「美音、こっち向け」
優しくそう言われて、成海くんを見上げると、
成海くんは首を少し傾げて微笑んでいた。
「謝るな。会えて嬉しいに決まってんだろ」
成海くんは私の頭をぽんぽんと撫でた。
周りの患者さんや通り過ぎる看護師さんたちが、
みんな見ている気がして、
成海くんは恥ずかしくないのかと
気になってしまった。