初恋タイムスリップ(成海side)
「ごめんな。なかなか会いに行けなくて…本当にごめん」
私は首を振った。
「大丈夫」
成海くんは撫でていた手を下ろした。
「美音の悪いところは、大丈夫じゃないのに大丈夫って言うところだ。
もっとわがままになっていいんだよ。
ちょっと…待ってな」
成海くんはそう言って階段の方へ行こうとした。
「成海くん」
そう呼び止めると、成海くんは、ん?と振り向いた。
私は首を振った。
「なんでもない」
成海くんはゆっくり戻ってきた。
「美音。言いたい事は、言う。
何?」
私は成海くんに一歩近づいて、成海くんを見つめた。
「白衣がすごく似合っていて……
かっこいいなって思ったの…」
成海くんは、パッと目をそらした。
「なんだ…そういう事か…」
そうつぶやいて、私の頭をくしゃくしゃっとして、
階段の方へ行ってしまった。