初恋タイムスリップ(成海side)
放課後、桜木と一緒に音楽室へ行こうと思っていたら、
気づいたらもう桜木は教室にいなかった。
「じゃあな。成海。指揮頑張れよ」
ジャージに着替えた篤志がスポーツバッグを持ちながらそう言った。
「おう。終わったらすぐ行く」
「りょーかい」
篤志は教室から出ていった。
俺は、バッグにジャージを入れて、
肩にかけようとした、その時、
「成海先輩」
廊下からそう呼ばれた。
ふと、教室の入口を見ると、
見たことのない女子二人が、こちらを見て立っていた。
俺は、バッグを肩から下げて、
入口へと歩いて、二人に近づいた。
「何?」
二人のうち、背の高い方の女子が、背の低いほうの女子の肩を叩いた。
「頑張って!」
そう言われた小さいほうが、うんと頷いた。
ん?
「あの・・・ちょっといいですか?」
・・・あ・・このパターンは・・
「あ・・ごめん。
俺、ちょっとこれから音楽室に行かなきゃなんだけど」
小さい女子はうつむいた。
「頑張って!言っちゃいなよ」
大きな女子が小声でそう言った。
小さい女子はまた、うんとうなづいて、
「あの・・彼女とかっていますか?」
そう、真っ赤な顔で聞いてきた。