初恋タイムスリップ(成海side)
音楽室に入ると、
桜木が、窓からグラウンドを眺めていた。
桜木が何を見ているのか気になって、
後ろに立ってみた。
桜木って、本当に小さいな・・
頭の上に、俺の顎を乗せられそうだ。
桜木の後ろから、窓の外を眺めると、
グラウンドで、陸部が練習をしているのが見えた。
まさか、陸部に好きな奴がいるとか・・
ま・・まさか篤志じゃねーよな・・
「何見てんの?」
俺は桜木の視線の先が知りたくて、
思わず後ろから桜木の顔を覗き込んでしまった。
「な、成海くん!」
驚いたように、桜木が見上げてきた。
「ごめんな。遅れて」
あ・・初めて名前を呼んでくれた。
俺は、そんなちっちゃなことでも、
うれしくなっている自分がおかしくて、
また、自分に笑ってしまったんだ。