初恋タイムスリップ(成海side)
いつまでもじーっと俺の顔を見ている桜木に、
やばいぐらい、ドキドキしてきた。
「何?」
冷静を装って、そう言ってみた。
もう、これ以上見つめられると、
爆笑してしまいそうだった。
「あ!れ。練習!」
桜木は、また耳まで真っ赤になって、
グランドピアノのそばに行って
カバーをめくった。
「遅れてごめんね~早速合わせよう」
その時、瀬戸先生が音楽室に入ってきた。
桜木がピアノの椅子に座った。
「じゃあ、一回合わせてみよう。ちょっと待ってね、録音するから。
この録音したもので教室でも練習してね」
瀬戸先生が、小さな機械を何か操作してから、
俺に目配せをした。
あ、始めろってことか。
俺は、指揮棒を振り始めた。
すると、俺に合わせて、桜木がピアノを弾き出した。
優しい音を出すんだな・・
この前奏、俺好きだな。
そして、先生が歌いだした。
時々、ピアノの譜面台の横から見える桜木と目が合う。
ピアノを弾く桜木が、俺は・・・