初恋タイムスリップ(成海side)
帰りの方向は、
俺も、篤志も校門出て左。
桜木のことは、中2になって初めて知ったぐらいだから、
もちろん小学校は違う学校だった。
だから、たぶん桜木は校門出て右だと思う。
俺と篤志は校門を出て左に曲がり、
夕焼けを背にして、並んで歩いた。
「好きな女ができたらさ、
俺も余裕なんかないよ。
そんなもんだよ。
お前は、おかしくないよ。俺も同じだ」
篤志は、へへっと笑ってそう言った。
「篤志・・好きな女いるのか?」
篤志は少しうつむいて考えていた。
「いるよ。
姉ちゃんの友達でさ、よく家に来るんだ。
女子高生だぜ?
目の前にすると、ガッチガチだよ。
挨拶もろくにできねーって。
俺もちっちぇー男だよ」
そうか・・・
「そういえば篤志と、こんな話するの初めてだな」
「お前が恋愛に全く興味ねーって、いつも言ってたからだろって!
俺はお前と・・
お前と、こういう話がしてみたかったんだよ!」
へへっと頭をかきながら、篤志は笑った。
また少し、篤志との親友という絆が、
深まった。
そんな気がした、帰り道だった。