初恋タイムスリップ(成海side)
それから何日か後、
休み時間に、いきなり前野が
俺を引っ張ってきて、廊下に出された。
「なんだよ・・」
廊下に連れていかれて、前野に思いっきり睨まれた。
「ねえ・・ちょっと前に、2組の向田さんに告白されたでしょ」
向田?
「1年生とかにも、告白されたんでしょ?」
1年?
「ねえ・・その時、
『好きな子がいる』って断ったって聞いたんだけど。
ほんと?」
あ・・・そのことか。
なんで、前野が知ってんだ。
「本当だよ」
俺は正直に話した。
「誰?」
前野は、ますます睨んできた。
「誰って・・
前野に言うなら、俺は本人に言う」
前野は、顔を真っ赤にした。
「本人って……
私じゃないんだ」
前野は唇を噛み締めた。
「前野じゃない。じゃ、俺教室戻るから」
俺は、体を震わせている前野を廊下に残して、
教室へと戻った。