初恋タイムスリップ(成海side)
ロータリーの壁に寄り掛かって、桜木を待った。
寒いな…
俺は朝してきたマフラーをバッグから出して、
首に巻き付けた。
あ…ちょっとは温かい。
ロータリーにいても、遠くから微かにピアノの音が聞こえた。
まだ、練習しているのか。
頑張ってんだな…
俺はジャージのポケットに手を突っ込んで、
マフラーの中に顔を埋めた。
告白。
そう考えると、やたら心臓がバクバクしてきた。
緊張すんな…
引かれたら
振られたら
マイナスになっている自分に嫌気がさした。
いいんだ。
桜木が俺をどう思っていようと関係ない。
俺は、桜木が好きなんだって事を、
桜木に、伝えたいだけだ。
頭の中でグルグルと、色んな事を考えていたら、
校舎の中から、
カタカタっと、
靴音がしてきた。
そして、
桜木が空を見上げながら、
玄関口から外に出てきた。