初恋タイムスリップ(成海side)
真っ暗な空を見上げていた桜木が、
目線を落として、俺と目があった。
「桜木…今帰り?」
「…うん」
桜木はまた、下を向いてしまった。
俺はゆっくりと桜木に近づいた。
近づけば近づくほど、
桜木はさらに下を向く。
目の前で、小さくなってしまった桜木を見て、
守ってあげたい…なんて思ってしまった。
「一緒に帰ろうか」
桜木は驚いたのか、少しびくっとしていた。
「私の家…校門出て右なの」
うん。
「遠回りするよ」
桜木はハッと顔を上げて、俺を見上げた。
その顔が、すごくかわいくて、
顔を上げてくれたのがうれしくて、俺が笑ったら、
桜木も少しだけ
笑ってくれたんだ。