初恋タイムスリップ(成海side)
俺が校門へと歩き出したら、
桜木もついてきた。
だから俺は少し立ち止まって、桜木が隣にきたら、
一緒に並んで歩きだした。
いつも篤志と帰る方向とは逆の右に曲がる事が、
なんか不思議な感じがした。
それよりも、隣に桜木がいることが、
想像以上に、
緊張した。
俺ってこんなにヘタレだったのか…
一緒に帰ろうと言ったのに、
桜木に何も話しかける事ができない。
何か話しかけようと言葉を考えても、
頭の中が、パニクっていた。
隣の桜木を見ると、
また下を向いて歩いていた。
そうだ、ピアノ…
「ピアノ頑張ってるね。
部活の休憩中とかに、
音が聞こえる」
「そうなんだ」
………………会話終了。
ダメだ。俺…ダメだ。
緊張し過ぎる。
「桜木・・彼氏とかいる?」
「いない」
即答だ。
いや…いなくてよかった。
それにしても…
会話が続かない。